最初の予定には入れていなかったけれど、今回、行きたい所がひとつあった。パールハーバーだ。ある人のブログを見ていたら、パールハーバーに行く日本人が少ないこと、日本人として行っておくべき所だということが書かれていた。それがとても、気になっていた。白状すると、僕は、今まで真珠湾を避けていた。できるだけ、知らんぷりんして通り過ぎてきた。
パールハーバーは真珠湾。この言葉が重かった。たぶん多くの日本人が、そうではなかろうか。できれば、避けて通りたい。そんな重苦しいものがある。
でも、一度は行っておくべき場所なのだろう。今まで、ハワイ旅行には、似合わないと思っていたのだけれど、ここもまたハワイの一部。初めて、今回は、行ってみようという気になっていた。
以前、好奇心からワイキキにある、アメリカ陸軍博物館に行ったことがある。表に戦車を並べたあの建物だ。なぜ行ったかというと、近くのホテルに泊まっていたからだ。何回か横を歩いていたら、衝動的に入ってしまった。だから深い理由はない。
昔から、小さな日本の戦車と大きなアメリカの戦車が並べられていて、なんだか嫌だなと思っていたのだけれど、入ってみるとそんなこともないことがわかった。ただ、兵器の展示会のようなもので、ハワイに来てまで入ることもないように思われた。まっ、それはともかく、パールハーバーは、見ておかなければいけないのかもしれない。
さっそく調べると、アリゾナ・メモリアルには予約が必要であることがわかった。予約という言葉で、もうこれはダメだと思えた。「予約」大嫌いなのだ。
もうひとつのミズーリ・メモリアルは入場料が必要だ。そんなに安い料金ではない。そこまでする必要があるのか……となると、ビジター・センター辺りで、空を見上げ、海を見つめるだけでもいいかもしれない。あの空で、あの海で、悲惨な出来事が起きた。そんな絵を頭のなかで描き、そして双方の慰霊ができればいい。
では、ビジター・センター辺りって、どんな所なんだろう。グーグルのストリート・ビューで見てみたら……うっ……行かないことになった。そこに広がる風景を見ていたら、どうも気持ちが萎えてしまったのだ。べつによい景色を期待していたわけではないけれど、わざわざ降りて周りを見るほどの場所じゃないように思われたのだ。やはり行くなら、施設訪問がよいのかも。
ということで、こういうことにした。バスのなかから見るパール・ハーバーも、降りて見るパール・ハーバーも同じだ。今まで、バスのなかからでさえ、しっかり見なかった場所なのだから(眠っていることさえ多かった)、今回は、しっかり辺り一帯をよく見つめてみよう。そして、心のなかで、惨事を思い描いてみればいいのではないか。それだけでも、ここを避けてきた自分には、大きな前進だ。軍艦見なくたって、と思うのだけれど。