19時30分
空いていそうな身体検査場を探して、列に並ぶ。いよいよここを通れば、もう娑婆には戻れない。毎回、なにかやり残したことはなかったか、なにか忘れものや必要なものはなかったか、いろんな心配を抱えながら列に並ぶ。
空いているから、すぐに自分の番になった。あらゆるものをポケットから出しているので、まず失敗はないはずだけれど、いつもここを通過する時は緊張する。少しでも金属類が隠れていたら、見せしめの刑になるからだ。できればそんな生き恥をさらすようなことはしたくない。だから緊張しながら、ここを通過する。周りにいる制服姿の人が、みんな意地悪そうに見えてくる。
幸い騒ぎは起こらずに、無事通過。制服姿の人は、皆よき人だった。