バス停には、すでに白人の老人が、ひとり座っていた。立ってバスを待っていると、自分が座っている所を少し開け、ここに座れと手を広げてきた。
お礼をいって横に座る。座らなくてもいいのだけれど、親切に従うことにした。こうした親切のあと、やっかいなことが起こることが多いのだけれど……。
案の定、座ると、1番に乗るのか、2番に乗るのか聞いてきた。やっぱりやっかいなことが始まった。英語で頭を悩まさなければならなくなったのだ。疲れそうだけれど、仕方ない、付き合うかと覚悟を決めた。
たぶん、話をしたかったのだろう。なんとなく、そんな雰囲気だった。2番に乗ることを告げると、自分も同じだという。この先、英語責めにならないといいのだけれど、と不安がよぎる。