アラワイ運河沿いの道をダイヤモンドヘッドに向かってテクテク歩く。空を見ると、やはりコウラウ山脈のほうから、黒い雲がわいてくる。でも、南側には晴れ間もあるという、ハワイらしいやっかいな天気だ。そんな天気でも、不思議なことに、この道を歩いていると元気になっていく。そして、「ああ、ハワイに来てよかったな」と思えてくる。
運河を横にした、なんでもない道なのだけれど、この道が大好きだ。なぜなんだろうと思うことがある。そのわけを述べよといわれたら……前に、ダイヤモンドヘッドがあること。左手に、きれいじゃないけど、運河があること。たまに、その水の上にボートやカヤックが浮かんでいること。その奥には、ゴルフ場が見え、さらには民家も見えること。もっと奥には、コウラウ山脈も見える。右手には、見慣れたホテル群。そして、行き着く先に、カピオラニ公園や、サンスーシー・ビーチがあること。解放感。道に植わった大きな椰子の木。そんなものがすべて、心地いい。
歩いていると、ジョギングの人たちが通り過ぎて行く。軽快だ。それを見ると、自分もキビキビ歩かなくてはと刺激される。そして、川沿いのベンチには、ホームレスさんが必ずいる。ホームレスさんを見て歩くのがつらい。何回も書くように、明日は我が身だと思えるからだ。これがこの道の難点だけれど、「仕方ない、仕方ない」とつぶやきながら歩く。