12時20分
歩をさらに進めてしまった。バスで進もうと思っていたのに、このままだと歩いて、〈ワン・プラス・ワン〉まで行ってしまいそうだ。と、思っていると、中華のお店〈Happy days〉まで来てしまった。
〈Happy days〉、なんて簡潔ないい名前なんだろう。横に漢字で店の名が書いてあるけれど、長くて面倒だ。もう〈Happy days〉で充分。
中華のお店は、こんな通称というか、英語名を持っているのが、やり手感を漂わせる。日本料理店だったら、こんなことはしないのだろうなぁ(と思うけど、どうなんだろう)。
ウーン、この店は制覇できていない。最初にこの店を見た時から、ずっと気になる店だった。「いつか、家族と来た時に入るぞ」という言い訳のもとに入らないできた。でも、ここを通る度に、入る勇気が出ない自分を責め続けてきたのは確かだ。
「なんてダメな自分なんだ」と思った時、「入ってやらぁ」という気持ちになった。半ばヤケだ。で、ヤケがしぼんでしまわないうちに、身体を前のめりにして店内に飛び込んだ。入っちゃったんですね。
ドアを開けてなかを見ると、さほど混んでおらず、席は沢山空いていた。いつも外から見ると、混雑しているように見えたので、あれれと思える光景だった。もしかして、わるい兆しだろうかと思えたのだ。ほら、よくあるじゃないですか、味が変わって、あるいは値段があがって、客足が変わったというお店。あれのことです。しかし、もうあとには戻れない。突進あるのみ。
まったく予定していなかったお店に入ってしまった。今日のお昼は、〈ワン・プラス・ワン〉と決めていたのに、こんなことになってしまった。こんな行動、よくあるんです……。