16時22分
ワイケレ前のバス停。バス停の席は、すでに4人組に占拠されていた。疲れた身にはつらい。座って待てれば、少しは楽なのだけれど。ひとつだけの買い物とはいえ、買い物疲れの身にはつらい。これが何点もの買い物となると、激しくつらいことだろう。それに大量の荷物。となると、やはりワイケレ・ツアーなるものも便利なのかもしれない。そんなことを実感させてくれるバス停。
フィリピン系だと思われる女性が数名やってきた。楽しそうに大きな声でしゃべっている。みんな明るくって、うらやましい。そのなかのひとりが、買ってきたブランド品の折りたたみ傘を出して、みんなに見せていた。すると、この日、風が強く吹いていて、女性の傘カバーを、さぁっと道路に運んでしまった。あれよあれよという間に、道路の真ん中に飛んで行く。
それを見て、失った当人は、笑っている。僕だったら、車にひかれてもいいからそれを拾いにいったことだろう。一瞬、取りに行ってあげようかと思ったけれど、本当に死んでしまいそうだったので、やめておいた。新品なのに……、風が吹く度に路上をさまよう傘カバー。まるで生き物のようだ。そして自分のように見えなくもない。車にひかれないように気をつけようっと。