16時40分
前回利用した、ニミッツ通りのバス停到着。
今回は、誰もおらず、自分だけの寂しいバス停だ。周りが暗くなったら、ここにはいたくない。明るいうちに利用するバス停のようだ。
17時・・・、20分待ってもバスは来ない。誰もいなかったということは・・・、行ったばかりだったのかもしれない。
いつものことながら、バスの時刻表は持っていなかった。あとで、ここの時刻表を見ると、40分間隔でやって来る。19番と20番は交互にやって来るから、実質的には20分間隔ということになる。ちなみに、ワイキキまでは、50分前後かかるようだ。
男性がひとりやって来た。リュックを背負って働き疲れたような若者だ。来るとすぐに、僕の左側に腰を下ろした。静かにしているから、危険な人物ではなさそうだ。ホッ!
そしてさらに、栄養の良い若そうな女性がひとり現れて、僕の右前に立った。買い物帰りというより、仕事帰りという姿だ。
しばらくすると、どこかで嗅いだことのある懐かしい香りが鼻先に漂ってきた。なんだったかな、この臭い・・・。
それは、ビールの香りだった。でも、なんでこんな所で……と思って、一番可能性のある、おにいさんを見ると、彼は目をつむって下を向いていた。ただただお疲れのご様子で、ビールどころではなかった。
となると……前のおねぇさん。よく見ると、ハンカチで包んだ、透明カップの飲み物を飲んでいた。中身は黄色で泡だって見える。彼女が犯人だったとは・・・。
横顔を見ても、赤い顔はしていない。ノンアルコールだろうか。あるいは、仕事帰りに、一杯というところだろうか。であれば、なかなかの達人だ。
こうした人達でも、そばにいてくれるのがありがたい。ああ、僕もそろそろビールが飲みたい。