13時
カイムキの〈グッドウィル〉の前でバスを下車。当然のことのように、そのまま〈グッドウィル〉に吸い込まれて行く。
なにかないかと、熊のようにウロウロ店内を探し回る。しかし、結論からいってしまうと、結局なにも発見できなかった。
ただひとつだけ気になったものがあった。古そうなペプシ・コーラのガラスのグラスだ。でかくて、分厚いガラスでできている。その形、重さから、相当古そうなことがわかる。値段は、たった99セント。値段はないに等しいし、買ってしまえばいいのだけれど、こんなものがどんどん家のなかに増えていく恐怖を思うと、手が引っ込む。。
最近、そんなことも冷静に考えられるようになってきた。もし、これが我が家にやって来たら、どこに置かれるのか。想像するだけでも、楽しいというより恐ろしい。
悩む。グラスを手に、「買っちまえ」、「いや、やめとけ!」と葛藤のあげく、コップは棚に戻された。昔だったら、絶対に買っていただろう。
そして、今思うとですね、「嗚呼、買っておけばよかったなぁ~」ということになっている。なんだろう、あの魅力、あの魔力。ここには、そんなものが沢山潜んでいるのだ。静かに、じっとして。耳をすませると、そいつらのささやき声が聞こえてきそうなお店、〈グッドウイル〉、恐怖の館。