商品はいいものを見つけられなかったが、そこは〈グッドウィル〉、ただで帰すことはしなかった。品物ではないが、おもしろい人物を配してくれていたのだ。それも、ふたりも。
ひとりは、僕のように熱心に捜し物をしているアジア系のおじいさん。僕も店内をくまなく見ていてわかったのだが、行く所行く所で出会うのだ。つまり、彼もくまなく売り場を見ていたのだ。その見方は、なにかに取りつかれたように極めて熱心。眼光も鋭い。もしかして、商売にしているのだろうかと思わせるような取り組み方だった。
同好の士のその姿は、自分の姿を見るようだ。自分もあんな姿で、店内を徘徊しているのだろうかと思うと、コワイものがあるが、「負けないぞ」と思ってしまうところが、もっとコワイ。