そして、もうひとり、白人のとても太ったおじさん。この人も、まあまあ熱心に品物を見ていた。そういう意味では、やはり同好の士ということになるが、ちょっと困った人物でもあった。
というのは、どうも変な臭いがするなと思うと、必ずそのおじさんがさっきまでいた場所であることに気がついたのだ。ウーン、これはあっち系の香り。ということは、そちら系の人なのかと、身なりを見ると、さほどではないけど、決してきれいではないという微妙な立ち位置だった。ここのお店は、すべての人に寛容だ。
しばらくすると、おじさんは、鏡の前に立ち、上半身裸になって試着を始めた。えっ、そこで着ちゃうかい、という光景だった。おかげで、見事なお腹を見せていただき、変なことに感心してしまった。
これが買われていけばいいけど、気に入らず、あるいは体型に合わないために、また売り場に戻されてしまったら・・・そんなスリルも潜んでいる〈グッドウィル〉。やはり、恐怖の館かも。
13時20分
ペプシ・コーラのグラスやおじさん達から逃げるように店を出た。