小さな頃から、散髪が大嫌いでした。散髪中のあの緊張感も嫌いでしたが、行った結果はもっと嫌いだったのです。つまり、希望通りのカットになったことが、ほぼないのです。
小心者の私は、「そこは、もう少し長く。そっちは、もっと短く」などという細かな指示を、プライドの塊のような職人さんにすることがためらわれました。また、やたら話しかけてくる、明るい職人さんも面倒で・・・。床屋さんでは、寝ていたいなぁ、と思う半面、寝ていたらとんでもないことになるという恐怖もありました。
唯一、恵比寿で出会えた床屋さんは、無口で希望も叶えてくれるという、夢のような床屋さんでした。もちろん、ずっとそこに。
そんな私が、なぜかハワイで床屋さんに行ってみたいと思い、2回も行ってしまったのは、今思えば狂気の沙汰としか思えません。
最初のお店は、チャイナタウンにある、〈Hawaii Institute Hair Design〉。たまたま見つけた安いお店だったのですが、親切丁寧。あとで知って驚いたのは、床屋さん学校の生徒さんがやってくれる、〝その筋〟では有名なお店だったこと。鏡に映る、きれいなお姉様を見ているうちにカットは無事的に終了。
2回目のお店は、〈Super Cuts〉。これもたまたま見つけた安い床屋さんでした。当然、チャチャチャとやってくれるお店でしたが、結果は最初のお店のほうがよかったと思えました(お姉様もカットも)。生徒さん、あなどるなかれです。
2回とも、「ロコのようなヘヤー・スタイルに〝なっちまった〟」と思いましたが、深く振り返りたくはありません。
幸い、狂気の時代は2回で終わり、いまやハワイで床屋さんに行こうなどとは、〝決して〟思いません(まだハゲてません)。とはいえ、まだのかたは、そんな大冒険もいいかもしれません。無事の生還を祈ります!