バスは、いよいよチャイナタウンへ入った。川の手前の公園を見ると、沢山のテントが並んでいる。テント屋さんじゃない、ホームレスさんの家だ。
前より滅茶苦茶増えた。まるでチャイナタウンに併設されている施設のように存在している。つらい光景だ。
ハワイが抱える難しい問題が、ひと目でわかる光景だ。昔は、こんなことはなかったのに……。これでは、この辺を気ままに歩くのは難しいようにさえ思えてしまう。
片や億単位の価格のコンドミニアムが造られていくハワイで、こうしたテントが増えていく矛盾。見ているだけで、気持ちは複雑になる。自分は、どちらに住む可能性があるかといえば、テントのほうだから、明日は我が身。それを旅先で考えさせられるのは、気が重い。
バスはキング通りを走ってサッサと海側に出る。いたってチャイナタウンには淡泊な走りである。泥臭いホテル通りを通らないのは、つまらなくもある。そんなマイナス面もあるけれど、その速さから、やはり、19番や20番のバスは、利用価値が高い。