店員さんに、ひとりであることを告げ、指示された壁際の席に座る。落ち着いて食べられそうな、いい席だった。
やって来たウェイターさんから、飲茶か一品かを尋ねられた。ここは飲茶がおいしいと聞いていたので、飲茶を宣言。ここからたいへんなことが始まった。
「飲茶」とは、「我、貴店と戦争状態に突入する」という意味らしく、待ち構えていた女性達の飲茶攻撃が始まったのだ。これがもう、ひとりだとうっとうしいほどの攻撃。まずは餃子からだった。エビの入った餃子をもらった。すると、あんこの入ったお団子も同時に顔を出す。「えっ、まんじゅうは今要らないです」と、日本語でいいながら断る。さらに、次から次に来るものを断り続ける。ああ、これは小心者には安らかな食事ではない。
飲茶をひとりで摂るのは、これが初めてだった。これは、ひとりで食べるものではないようだと、このとき初めて理解した。ひとりは、一品ものや定食がいいのだ。しかし、もう遅い。
エビの入った餃子は、エビがプリプリ。これはうまい、と思えるものだった。さて次に我はなにを食べたいのだろう、と思っているうちに、いろんなものがやってくる。しかし、気に入ったものがなかなかない。
揚げ餃子攻撃に屈して、お腹が結構満腹になっていく。最後に、中華の骨付きチャーシューをいただくと、これが結構な量でお腹は満タン。これは甘いタレがついていて、「なんてことしてくれたんだ」と思えるほどのショック。勝手な自分の想像とは違っていただけなのだけれど、嗚呼。