行けなくなったカイヴァリッジ・トレイルは、ぜひまた行きたい場所だった。トレイルからの眺めは、それはそれはすばらしい。しかし、問題は、通過するカイルアの街に、違和感を感じてしまっていること。
それは、前回(2016年)カイルアに行ったときのことだった。いつものようにお店が建ち並ぶカイルア・ロードを抜け、カイルア・ディストリクト・パークのほうに歩いて行った。なにもない、つまらない道だ。それがまたカイルアらしくっていい。
左手にある公園のほうに近づいて行くと、右側に巨大なコンクリートの集合住宅が現れた。高層階ではないけれど、広い敷地を使った大規模なものだ。その存在に驚くとと同時に、困ったものができちゃったなと思わずにはいられなかった。
決して異様な建物ではないのだけれど、近代的過ぎて、どうもカイルアには似合わないと思えたのだ。カイルアも、ワイキキ周辺のように、新しいビルだらけになっていくのか、という拒否反応。
初めてここに来る人には、なんら問題はないだろう。ただ、ひなびた昔のカイルアを愛する人には、ショックだ。どこもこうして変わっていくのだろうけれど、なんだか認めたくない。
ここは、昔どんな場所だったのか、思い出そうとしても出てこない。つまり、思い出さないような、なんでもない場所だった(少し前の航空写真を見ると、大きな空き地だ)。
カイルアは、まさしく高級住宅地。海辺の大きな邸宅に、決して親近感は感じないけれど、それなりによい眺めで楽しいものだ。そこには、独特なのんびりした空気が流れている。高級だけれど、どこかひなびている。身近なものではないけれど、なぜか暖かみを感じさてくれるのだ。でも、この建物は違う。それをいったら、切りがないのだろうけれど、どうしても抵抗したくなる。
ここは、調べてると、カ・マラナイという名のコンドで、安くても80万ドルほどの物件だ。わぉっ! まさしくお互いに〝拒絶反応〟。
そして、増える観光客や行き交うレンタル自転車の数。昔はこんなに日本人いなかったのになぁ~、となる。自分もそのひとりなのだけれど、そう思ってしまう。
さらに、とどめを刺すと、カイルアから帰るときのバス停。なぜか毎回、ちと怪しい人がいる。危険じゃないけど、心地よくはない。そんな存在感。そんなバス停でのバス待ちが苦痛だ。
そんなこんなで、カイルア、できれば行きたくない街になりつつある。当然、そんな街を通り抜けて行く、トレッキング・ルートはつらい。行けば、今まで書いてきたことなんか吹き飛ばされてしまうほど、いい景色を見られるのだけれど。そして、「サルベーション・アーミィ」は、楽しい店なのだけれど。