ケアモク通りをサウス・キング通りに向かって北上し続けると、右手にその韓国のスーパーが現れる。〈リケリケ・ドライブイン〉を過ぎた、次のブロックだ。と、〈リケリケ・ドライブイン〉と書いたのだけれど、実は、この文章を乗せようとしていたら、20年4月、閉店となってしまったらしい。だから、もうこのランドマークは、使えないことになる(まだ建物はあるのでしょうけど)。
〈KC・ドライブイン〉と同じように、ここも閉店となってしまった。「ドライブイン」と名が付くような、古いアメリカの香り高い店(「ダイナー」っていうのかな)がなくなっていくのは残念でならない。
この店は初めてひとり旅をしたときに、ドキドキしながら入ったあこがれの店だった。店内は、古きよきアメリカの内装。昔のファミレス風とでもいうのだろうか。初めてなのに、前に来たことがあるような、不思議なぬくもりを感じさせてくれた。緊張して店内に入り、恋い焦がれていたロコモコを食べたことを思い出す。
このとき、初めて、卵料理には、サニー・サイドアップやらオーバー・イージーやらの選択があることを思い知らされた。日系のやさしいおばさんウェイトレスからその選択を聞かれたとき、頭が真っ白になったことが忘れられない。英語で聞かれ、唯一、わかった単語は、サニー・サイドアップだけ。見知らぬ人ばかりのなかで、ただひとり知っている人に会えたような喜びで、それにしがみついた。そして、冷や汗をかきながら食事した。うまかった。
いつでも行ける場所にあることから、また行きたいと思いながらも、店の前を何回通過してしまったことだろう。どうやら、ただちに入っておかないといけないお店、いっぱいありそうだ。
調べてみると、どうやらこのお店は、僕と同じ年の生まれのようで、それを知ってさらに親近感増大。そして、悲しみ倍増。いいお店がどんどん消えていく、ハワイ。