さて、ハワイでどこに行こうか……。
最近のハワイ旅行では、行ったことのないトレッキング・ルートをひとつは必ず入れていた。最初のトレッキングは、マノアの滝。このときの自然に包まれた快感が忘れられなくって、トレイル詣でが始まった。カイヴァリッジ、マカプー、ココヘッド、プウピア……と足を向けた。
トレイル情報の本が少ないなか、手元には『ハワイ・トレッキング』(近藤純夫著、平凡社刊)がある。近藤さんによれば、ワイキキ・ウォークもトレッキングのひとつだから、知らないうちにトレッキングしていることになる。これはうれしい。得した感じだ。もちろん、ダイヤモンドヘッド登頂もトレイルだ。
2016年の旅では、プウピア・トレイルの横にある、コロワル・トレイルに行った。ここは、行ってみると、なかなかの難所で、お隣のプウピアのようにはいかなかった。その印象が強く頭に叩き込まれている。いわばトラウマ的存在。
コロワル・トレイルとプウピア・トレイル。同じような場所にあって、右に行くか左に行くかだけの違いだけれど、左・プウピア方面に行くと天国、右はその逆だ。
同じようなものだと思って進んだけれど、息が切れるほどのハードさだった。坂ばかりのあげく、急な斜面をサルのように登る場面もあった。そして、いくら登っても頂上がわからないから、もうこの辺が頂上ということにして下りてきた。そのへんの見極めが大切だ。
途中出会ったのは、しっかりトレイル装備した男女数人だけ。どうやらそれなりのルートだったのかもしれない。事前にトレイルの情報がないと、こんなことになる。
そんなトレイルの樹木に囲まれただけの道を歩いていたら、どこかで見たような風景に思えた。それは……ハワイではなくって近くの鎌倉湖畔の風景だった。せっかくハワイに来て、こんな所を歩いていていいのか、と思わず思ってしまった。
トイレルは、途中の風景の美しさや、走破し終えたときの達成感はたまらない。しかし、過激になると、ハワイに来てまでこんなことやってていいのかと思えなくもない。せっかくハワイにいて、サルのようになって、葉っぱや樹木ばかり見ていていいのかという、疑問やら不安だ。もちろん、トレイル大好きという人には、なんら文句もないにちがいない。たぶん、僕は半分大好きってレベルなのだろう。
そんなことが頭にこびりついていたせいか、今回、いつものように新たなトレイル・ルートをと探していても、なんだか気乗りがしない。
白状すると、実はこのときもうひとつ頭の片隅に思い浮かんでいたことがあった。それは、「そろそろハワイを卒業するか」ということだった(理由はまたいつか)。それらをすべて合わせたら、もうハワイらしい所だけ歩けばいいじゃないかということとなった。