8時35分。
機外に。あとは、みんなについて歩くだけ。
歩きだして、真っ先に感じるのは、空港内の香りだ。これは、残念ながら自然の香りではなく、芳香剤の香りだ。しかし、この香りをかぐと、「あ~、ハワイに来たんだな」と実感する。ハワイの香りというより、アメリカの香り、アメリカ文化の香りだ。これが好きだ。大きく深呼吸する。
外で、本物の花の甘い香りがするといいのだけれど、これはいつもじゃないから、あまり期待しないようにしている。この花の香りを嗅ぐことができた時は、なんてラッキーなんだと思うことにしている。これは一瞬芸で、あっと気がついた時には、もう通り過ぎていて、あれはいったいなんだったのだろうということになる。だから、大切にしなければいけないのだけれど、どう大切にすりゃいいんだってことになり、悶々とするのである。
空港の通路を進んで行くと、要所要所に、空港の人が立っている。彼らは、ハワイに来て最初に出会う人たちだ。彼らに出会うと、「ああ、ハワイにいるんだ」と実感できる。
脳はまだ、ハワイにいることを認めていない。すべてに、「なんだ、こりゃ」と思っているようだ。説得しても、「おら、しらねぇよ」という状態なのである。早く、納得させなくては。