残念ながら、いつもこのベンチに来て、新聞を読んでいる初老の男性は来ていなかった。
僕は彼のことを勝手にジョージと名付け、彼がここにいてくれると、なんだかうれしかった。僕がハワイに来るほとんどすべてで、彼はここにいたように思う。これも勝手に、話したこともない古くからの友人だと思っている。
昔、アラモアナ・ビーチが大好きだった頃、以前と同じ場所に寝転んで、うしろを見たら、以前見たことがある老夫婦が同じ場所にいて驚いたことがある。そんな存在って、どこにもあるのかもしれない。日課が繰り返されているだけなのだろうけれど、こちらにはそれ以上の存在だ。
僕がハワイに来るのは、2~3年おきだ。その間、彼もどんどん歳を取っている。だから、いつまでも同じ人がいてくれると思うのは無理なのだけれど、ここにずっと彼がいてほしい。それほど大切な存在になっている。
そういえば、ここ数回のハワイ旅行でも、彼を見かけなかったような気がする。とうとうここまで来られなくなってしまったのか。あるいは、数日しかいない自分とはすれ違いなのかもしれない。そうであってほしいものだ。