〈コーヒー・トーク〉を横目に見ながら、「今はお茶じゃなくって食事だから……」と言い訳をしながら通り過ぎる。ここもまだ健在でいてくれる。この時代がかった姿が好きなんだよね。
喫茶店……、以前、知人から「最近、〈ボガーツ〉行ってる?」と聞かれたことがある。一瞬、ドッキリ。行かなくなったのだ。
〈ボガーツ〉は、あこがれのお店だった。あそこになんとか入ってみたいと思い続けて、やっと勇気を出して入った。
入って、楽しかったかというと、ちょっと複雑なものがあった。それは、まず店が狭いこと。狭いうえに混んでいること。地元の人のたまり場のようなあたたかさがあると同時に、浮いてしまう感も強い。
そんな店内より、外のテーブル席は快適だった。朝のモンサラット通りを見ながらのコーヒーは格別だ。ただ、この席の数はなく、空いていないことが多い。
そして、日本人観光客の増加。昔、ここで日本人に会うことなどなかったのに、前回行ったら、2組もいた。
そんなことで、あこがれの女性は自分には合わないと理解してから、「ああ、〈ボガーツ〉元気だな」と横目で見ながら通り過ぎている。今日もそうだった。入らないけれど、「昔と変わらないな」と横目で確認してしまう存在で、相変わらず気にはなっているのだ。
それに比べると、ここ〈コーヒー・トーク〉は広いから、居場所がある。変な緊張感がない、長居ができる、本も読める。そして、これが重要、コーヒーの量が多い。と、いいことずくめだ。
しかし、日本人もちらほら見かけるようになり、そのうち、〈ボガーツ〉のようになってしまうのかと心配だけど、ワイキキほど気楽には来られないだろう。もちろん、ここまで来る根性のある人、大好きです。